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今回は、保育士さんへ向けた、「連絡帳」についての記事内容です。
大半の保育所では毎日の連絡帳の記入が業務に含まれていると思います。
そこで、現役保育士が考える連絡帳を書く上でのコツ・ポイント、連絡帳の役割、をお話していきたいと思います。
特に、
- 保護者とのコミュニケーションで悩んでいる方
- 連絡帳のペンがなかなか進まない方
に読んでいただきたい内容となっています。
連絡帳の意義、役割は!?
まず、保育所における連絡帳の意義、役割についてですが、大きく2つあると考えます。
- 家庭、園での状況(情報)の共有
- コミュニケーションツール
まずは、状況の共有ですが、連絡帳の記入事項は園によって少し異なりますが、おおむね以下の通り。
家
- 睡眠時間
- 排便の有無
- 薬の服用有無
- 食事
- 家庭での様子
園
- 午睡時間
- 排便の有無
- 薬の服用有無
- 食事
- 園での様子
- お願い事項
まあ、ほぼほぼ同じ内容ですね。
園からのお願い事項には持ち物の不足、補充を記入することが多いです。
また、乳児さんだと1日の過ごし方をタイムスケジュール形式で記入していく園が多いのではないでしょうか。
園や家庭での状況は、当然口頭で伝えることもたくさんありますが、どうしても朝やお迎え時は時間が限られてしまい、伝えきれなかったりする部分もあります。
また、言った言わないの問題が出てきてしまったり、忘れてしまったり、というようなこともあるので、ある程度は記入してきてもらいます。
ここまでは、状況の共有についてのお話しです。
状況の共有はとても大事なことですが、今回特に意識してお伝えしたいのがコミュニケーションツールとして。の方です。
保育所で働いていると感じます。
保育者と保護者の接する時間は、「コミュニケーション」としては不十分と思えるほど短い、少ないな、ということに。
ゆえに、保護者の保育者へのイメージというのは案外「連絡帳」からくるものが多いのではないでしょうか?
なので、素敵な連絡帳に仕上げる、良い連絡帳を書く、というのはコミュニケーションを深める為、我々保育者にとっても大切な業務と言えるでしょう。
それでは、どういった連絡帳が良い連絡帳と言えるのか?、を考察しながらポイント・コツを紹介していきたいと思います。
※今回紹介するのは保育者側(園での様子)の書き方になります。
素敵な連絡帳、良い連絡帳とは!?
コミュニケーションとして考える時に大切になるのは以下の3つ。
- 読んでいて楽しい
- 嬉しい気持ちになれる
- 先生がどれだけうちの子を見ているのか分かる
園での様子はこの3つを意識すれば大丈夫でしょう。
親御さんが保育園に子どもを預ける際に抱いている不安は、各々あるかと思います。
楽しめているかな?
お友達と仲良くできているかな?
ずっと泣いているんじゃないかな?
先生はちゃんと見てくれているかな?
こういった不安を解消できる連絡帳が「良い」連絡帳となります。
そのためには、楽しくて、嬉しくて、子どものことをしっかりみているエピソードや書き方が大きなポイントとなるでしょう。
大前提として、連絡帳にルールはありません。最低限のマナーと言葉選びくらいでしょうか。あとは園長の方針でちょっと考え(書き方)が変わるかもしれませんが、上記のポイントを抑えるためのコツをもうちょっと深掘りしていきます。
ポイント・コツ
常日頃から子どものいい所を探す
やはり保育者としての原点であり、永遠の課題でもあるのが「子どもを見る」ということ。
どうしても「仕事」として捉えると、締め切りもあればゴールもある「書類」「行事」「製作」、に集中したくなります。
結果、「子どもを見る」、というのが初心の頃に比べて薄くなっていってしまう方も多いのではないでしょうか?
もちろん厳密にいえば連絡帳も「書類」ではあるのですが、それをきちんと仕上げるためには、やっぱり「子どもを見る」、ということが大きなポイントになります。
なぜならば、子どもをしっかり見ている方がエピソードを記しやすくなるからです。
また、保育者としては子どもの課題とも向き合っていかなければなりません。なので、子どもの悪い部分も注意してみていく必要があるでしょう。
しかし、子どもは大人に比べて未熟で成長の余地が大きく残されているもの。
悪い部分があると認めつつも、よりよい部分、成長しているな、と感じる部分を意識してみていきましょう。
常日頃から「子どもを見る」、「いい所を探す」、と意識づけするだけで、
「は~、今日連絡帳何書こう・・・」
が無くなっていくでしょう。
ポジティブ変換
連絡帳は「文字」で伝えるため、悪気が無くても嫌な気分にさせてしまう、そんな勘違いが生まれてしまう悪い側面を持っています。
かわいらしさ、愛らしさ、を冗談っぽく記してみたら、悪く言ってるように捉えられてしまった。
そんな経験をされた方もいるのではないでしょうか?
保護者の方と確かな信頼関係が築けていればプラスに取れる表現でも、そこはちょっと注意しなければなりません。
子どもの様子を伝える際は言葉のポジティブ変換を推奨します。
例文をあげてみたいと思います。
保育園生活ではよくあることですよね・・・。
事実のままに書くとこんな感じになります。これをポジティブ変換してみます。
いかがでしょうか?
角が少し丸くなったように感じませんか?
<お友達と手をつなぐのを嫌がる→大好きな人と手をつなぎ嬉しそう>
お友達と手をつなぐのを嫌がる子って結構いますよね。自分1人で歩きたがったり、好きな人と手をつながないと動かなかったり。
「嫌がる」自体はおかしなことではないのですが、文字で伝えるとショックを受けてしまう方もいるでしょう。
連絡帳上では、結果として納得した方法に目線を向けて記す方が良いでしょう。
<1人だけずっとアリを見ている→アリに興味津々>
1人だけ寂しそうにしている様子に見えてしまいがちな表現をポジティブに変換するとこんな感じです。
子どもですから、お友達とたくさん遊びたい子もいれば、1人で楽しいことに没頭していたい子もいます。
どちらがいいとか悪いとかではありません。
しかし、保護者の方はお友達と仲良くできていないのでないか?、と「文字」から推察してしまうこともあります。
連絡帳上では、子どもが好きなことに興味を示しているように書く方が良いでしょう。
<黙ってうなずきずっとアリを見ている→静かにうなずきすごい集中力を感じる>
変換前だとどこか「無視」をしているように聞こえてしまう表現ですが、変換後は興味の具合の高さを感じる表現となっています。
1人で遊ぶことが好きな子は、興味の高さ、集中力、没頭している様子、を際立たせた書き方が良いでしょう。
<「帰らない」と言う、→公園が楽しかった様子、物足りない>
「帰らない」と言うこと自体はそんなに悪いことでもないので変換の必要はないかもしれませんが、物足りない、と思うくらい公園を楽しんでいた。と直接伝える方が分かりやすいと思います。
<手こずらせ逃げ回る→アピールに子どもらしさを感じる、マイペースだな、とほのぼの感じる>
「先生たちに迷惑をかけてしまった」と思われる方もいるかもしれません。
我々保育者は、子どもなので人に迷惑かけても変ではない。手こずらせてもそれが子ども。
と分かっています。そういう子自体特段悪い意識を持つことはありません。(大変ではありますが・・)
それをポジティブに伝えるために「子どもらしさ」「マイペース」という言葉をよく用います。
また、ほのぼの、という言葉もその時の様子を刺激的にさせないためには必要なフレーズかもしれません。
連絡帳に「嘘」を書くのはよろしくありませんが、状況も立場や保育観によって見え方が違います。
当事者としてドタバタでてんてこまいの気持ちは分かりますが、まず冷静になりましょう。
そして、表現はとにかくポジティブを意識しましょう。
保護者の願いをなんとなくでも把握しておく
保護者によっても子育て観は全然違います。
子どもにこうあって欲しい。こういう所を伸ばしたい。
考え方は異なるでしょう。
なので、個々の保護者の「願い」も頭に入れながら記入するとより信頼関係を強く持てるようになります。
例え。
<泥だらけになっても、傷だらけになってもいいから元気にたくましく育ってほしい!>
そんな保護者さんは?
子どもらしい開放的な、のびのびとした様子を書くと喜ばれます。
<お友達との関係が心配、不安>
そんな保護者さんは?
ちょっとでもいいからお友達と接している場面をクローズアップして書き、優しくしてあげた、みたいなエピソードを引き出せれば尚喜ばれます。
<子どもの食事(好き嫌い、マナー)が気になる>
そんな保護者さんは?
ちょっとでも食に興味を示したり、ほんのちょっとでも成長を感じられる場面があればそれに特化した連絡帳が嬉しい気持ちになります。
保護者の方の子どもへの願いをすくい取ることができれば、それは「うちの子をこれだけ見てくれているんだ」と思ってもらえるような連絡帳になり、それがより喜ばれる連絡帳と言えるでしょう。
頭まわっていますか?
最後は半分余談くらいの気持ちで聞いてください。
私自身いくつかの園を経験してきました。
園によっては常にバタバタしている所もあり、連絡帳を書く(であろう)お昼の時間は先生たちの休憩をローテーションでまわす時間と併用になっていることも多いです。
そのため、お昼ごはん前のやっつけ仕事感で連絡帳を書いている園(先生)も多々見られます。
もちろんそれは先生だけの問題ではないのですが、腹ペコで頭があまりまわらない中で記入しても良い連絡帳を書くことができないのではないでしょうか?
時間に余裕があるならば、食事をとってから、もしくはちょっとでも糖分を取ってから記入したほうがより良い連絡帳が書けるような気がします。
園の方針や、やりたくてもできない、というのが現実的な答えですが、「私今。頭まわっているだろうか?」は常に意識した方が良いでしょう。
まとめ
連絡帳は大事な大事なコミュニケーションツールです。
保護者の方はお友達ではないので、最低限の表現方法は注意が必要ですが、楽しくて、嬉しくて、うちの子を見てくれているんだ、が感じられるような連絡帳が理想的です。
その為には、
- とにかく子どもをしっかりみる
- いいところをたくさん探す
- ポジティブな言いまわしを模索する
- 保護者の方の願いをすくい取る
- できれば頭がまわっている状態で書く
を、意識してみてください。
良い連絡帳に仕上げることができれば保護者の方の見る目も変わります。
そうすればトラブル回避はもちろんのこと、子育ての助言やお願いもより伝わりやすくなりますよ。